脱出ゲームで考えるチーミング

部長のにゃーまるです。

部活動ではありませんが、プライベートで高専時代の7人の友人と共に脱出ゲームに行ってきました↓↓↓

アナログゲームですらないですが、謎解きはアナログ要素なので、勝手に使わせてもらいました💃


脱出ゲームとは?

複数人で閉鎖された空間に閉じ込められ、一緒に閉じ込められた人と協力して制限時間内に目の前の謎をすべて解き明かし、脱出するゲームです。

謎もさることながらストーリーも作り込まれていて多くの人が楽しめること間違いありません。最近では遊園地や水族館とコラボすることもあり、知名度も上がってきたのではないでしょうか?


結果

月面基地から脱出できずメンバーみんなで仲良く窒息死しました😱

実は1人だけソロ参加で別のチームにいたのですが、この1人だけは月面基地から脱出して地球に帰還することができました🚀


さて、ここからが本題です。脱出ゲームの結果は残念だったのですが、そのあとはご飯を食べて飲みながら反省会をしました。この反省会が自分にとって印象的で、良いチームを作るとはどういうことか、考えさせるものでした。

そこで本記事では、脱出ゲームのゲーム性と今回の反省会から、チーミングについて考えてみることにしました。


脱出ゲームのゲーム性とチーミング

脱出ゲームは先述の通り、メンバーで力を合わせて目の前の謎を解き、脱出するゲームです。脱出するためには、メンバーのチームワークが重要です。では、脱出ゲームでどうこのチームワークを養うか、そのゲーム性から考えてみたいと思います。

「チーム」において大事なのは、「チームの方向性(目標)」と「チームの状態の計測」だと思います。脱出ゲームでは、これらがはっきりしていることを述べます。また、これらがはっきりしていることで「個々の役割分担」がうまれ、回を重ねるごとに改善されていくのだと考えます。この脱出ゲームの役割分担についても述べたいと思います。


脱出ゲームの目標

脱出ゲームの目標はシンプルであり「(時間内に)脱出すること」です。脱出したときは爽快ですし、できないと悔しい思いをします。

このゲーム性から、脱出ゲームにチームで参加すれば、自ずと「脱出すること」がチームの方向性になると思われます。

私たちは、「脱出すること」にさらに制限を加え、「高専生だけで脱出すること」を目標にしていました。これが何か影響を与えるのかは知りませんが、少なくともチームの方向性はより明確になったのではないでしょうか。


脱出ゲームにおける計測

脱出ゲームでは、「脱出率」と呼ばれる指標があります。脱出率は、その脱出ゲームに参加した全チームのうち、どのくらいのチームが脱出したかを示す指標です。これにより、ゲームの難易度を知ることができます。

他に、「進捗率(どこまで解くことができたか)」を計測することができます。脱出ゲーム終了後は答え合わせが実施されます。そこによって、自分がどこまで解くことができたかを知ることができます。脱出率のような数字の統計があるわけではありませんが、繰り返し参加していくうちに、「このペースでここまで解けたのは順調だった」とか「大謎にたどり着いたけどこれしか時間がないのはよくなかった」などが経験的にわかるようになってきます。

これらの計測結果から、自分らのチームがどのくらいのレベルで、何が不足しているかを把握することができます。


脱出ゲームに求められる役割分担

脱出ゲームは一般に、たくさんの小謎をチームで手分けして解く前半と、チーム全員の持つ情報を共有して、力を合わせてひとつの大謎に挑む後半の、2つのフェイズに分けられます。

それぞれで求められるスキルが異なりますが、終始チームワークが求められるゲームです。前半できちんと問題の分担ができないと解くのに時間がかかってしまいますし、後半に情報を共有できないとそもそも問題が解けず、脱出に失敗します。

正直、私も脱出ゲームをやり込んでいるわけではないので、ここでは反省会で話した内容を参考に、私たちが必要だと感じた役割を上げていきたいと思います。


最適な役割分担を行うマネージャー

脱出ゲームでは開始早々、大量の小謎が出題されます。これを解くメンバーを最適に配置すること、行き詰まったらメンバーの再配分アドをすることがマネージャーの役目です。チームメンバーのスキルを把握しておき、問題を見極めて最適に割り振っていきましょう。


小謎を高速に解くための前衛

前半で出題される謎はバラエティに富んでいます。パズルやクロスワード、和同開珎にひらめき問題といろいろあります。すべての問題に対するスキルを身につける必要はありませんが、得意なものを個々に持っておくと良いかと思います。また、チーム内で異なる問題に対するスキルに特化したメンバーを揃えられるととても強いです。


情報収集する探索者

脱出ゲームによっては、施設内に謎を解くための鍵が散りばめられています。それらを回収するため、1~2人程度歩き回り、鍵を写真で収集しながらチーム内チャットに共有します。収集漏れがあると、解けないこともあります(実は今回の脱出でも経験しました)。そのため、2人派遣し、ダブルチェックするのも良いのではと話していました。


個々が得た情報を貯める聞き役

謎を解く鍵は思わぬところに潜んでいます。そこで、気づいたことを収集する聞き役を配置します。この人が、どんな情報が得られたかメンバーに聞いて回り、整理してメモします。最後の大謎を解く上でも鍵になってきます。


難しい問題・大謎を解く後衛

小謎がたくさんあると、いくら得意でも解けないこともあります。そういった問題をこの役割のメンバーが解きます。また、ゲーム後半の大謎でも、この人たちが中心となって解くことになるでしょう。とても重要な役割です。ひらめきや多くの経験が必要だと考えられます。

裏を返すと、この人たちが解けないと脱出できない可能性が高いです。そこはチームでなんとか答えをひねり出してみてください🙏


まとめ

脱出ゲームにおけるチームの目標と状態の計測、そして個々の役割分担について述べました。

脱出ゲームに「チーム」として参加するなら、チームは「脱出すること」を目標に、「脱出率」や「進捗率」を計測することで、チームの位置付けを知ります。計測して得られたデータを基にして、今のチームの役割分担を改善し、個々の能力を高め、「脱出すること」を目指すのも脱出ゲームの醍醐味でしょう。


次に、反省会という名の飲み会の様子を書いてみたいと思います。これは、計測して得られたデータを基にして実施した、チーム改善のための「振り返り」でした。この振り返りがあって、チームワークは養われていくのだと考えます。これぞチーミングではないでしょうか。


反省会について書く前に...

皆さんはKPTをご存知でしょうか?

KPTとは、Keep、Problem、Tryの頭文字をとった造語で、継続的なチームの改善を行うための振り返り手法です。週1回程度の頻度で実施され、前回のKPTから今回までのよかったこと(Keep)、悪かったこと(Problem)、やってみたいこと(Try)を列挙し、その内容を見ながら話し合ってチームを振り返ります。

具体的には、良かったこと、悪かったことをあげていき、次に試すやってみたいことを話し合って決めていきます。良かったこと、悪かったことは、何が良かった・悪かったか、因果関係も含めて話に出すと、それを改善する良いTry案に繋がることもあります。

部長の所属するチームでは、画像のようにスプレットシートを活用してKPTを行っています。もともとは付箋とホワイトボードを使ってやっていたのですが、KeepやProblemをKPTまで覚えていられなかったり、書くのに時間がかかってもったいなかったりといった理由で、現在のような形になりました。どうやってKPTをするかは、チームで話し合い、チームに適したやり方をとるのが良いと思います。

スプレットシートではTryとして提案された勉強会やPit−inの内容も同様に管理しています。こちらもKPTを通じて改善され、現在も実施されています。KPTとしては割とよく回っている方ではないかと、部長自身は感じます。

KPTの意味がわかったところで、今回の反省会という名の飲み会を、KPTと照らし合わせて振り返ってみたいと思います。



反省会という名の飲み会

脱出ゲームに参加するも、後一歩で脱出することができなかった私たちは、悔しさを抱えながら居酒屋に入りました(余談ですが、仮に脱出できたとしても祝勝会的に居酒屋に入ります)。そこで私たちは酒を飲み、頻繁に雑談を交えながら脱出ゲームの反省会を始めました。冒頭でも述べた通り、私はこの反省会が非常に印象深かったのですが、何が印象深かったかを順を追って分析してみたいと思います。


私たちはどんなチームか?

脱出ゲームは複数人で行うチーム戦です。私たちは高専時代の同期でメンバーを固めました。

高専は、高校の教育を含んだ専門に特化した高等教育機関であり、5年間同じクラスメイトと過ごします。そんなこともあり、10~11年来のとても長い付き合いの友人です。高専は、普通の高校とは異なる独特な文化があります。その文化の下、みんなが良好な関係を維持していると感じます。

そんな高専同期メンバーで集まって脱出をしているので、それほど言いにくいこともなく、飲み会(反省会)中もあれこれ話しました。

言いにくいことがなかったのは、多くの意見が出やすいという意味で良かったと思います。


飲み会(反省会)はどう始まったか?

雑談混じりで会話し、いざ振り返るとき、最初に出たのは「俺たちは今までより着実に問題を解くのが早くなった」でした。先によかったこと(Keep)を出すのはKPTでは定石とされています。特にこれは、チーム全体としてよかったことを最初にあげています。無意識でもこのようにできるのは素晴らしいことだと感じます。

この後も「○○のあのひらめきはナイスだった!」「○○を解くのがめっちゃ早かった!!」などの良い点がいくつか上げられました。他にも、脱出ゲーム中の笑える勘違いやミスが話題に上がって盛り上がっていました。


問題の核心に近づいたのは何か?

しばらくして、あるメンバーがこんなことを言います。

「あのとき俺が○○して、ミスリードして時間を使っちゃったね、ごめん」。KPTでいう、最初のProblemが上がります。

これに対して、「確かにそうだったね。でも、それにつられてみんな同じ問題に注目しちゃったから仕方ないよ。」といったようにメンバーが切り返しました。これにより、個人の問題はみんなの問題として扱われました。誰かの問題ではなく、チームの問題として捉えることは、負担が偏らないために重要なことです。


原因はなんだったのか?

話し合いの末、私たちは上述の問題を「マネージャーの不在」と結論付けました。もし、私たちのチームの誰かが、チーム全体を俯瞰して見れていたら、全員が同じ問題に注目していることにいち早く気がつき、問題を再配分できると考えました。

私自身もこれは感じていて、マネージャーに適任だと思うメンバーを指名してみました。すると彼は、「以前マネージャーぽいことをしてみたけれど、脱出失敗したから荷が重い」と回答しました。そこで、「誰が適任だと思う?」と返してみました。彼は少し考え、より適していると思われるマネージャー候補をあげた上で、メンバーの情報の聞き取り役も必要だという意見を述べました。

そこから話は発展し、メンバーに必要な役割、そしてその役割に適した人を話し合い、私たちの中での最適な役割分担を導きました。

ここまでで、私たちは1つのTryを導いたのだと、私は思います。


Tryによって本当に改善されるのか?

ある程度議論が出尽くし、また雑談が挟まります。時間を置いて、「うまくいったチームはどうしたか聞いてみよう」という話題が上がりました。私たちには、1人ソロで参加し、そのチームで見事に脱出成功した友人がいました。彼から、問題の時間配分や、上述のような問題にぶつかったとき、どう打開したかを聞きました。

彼は「リーダー的な存在が『一度この問題に取り組むのをやめて、最初からやってきたことを整理してみませんか』と提案し、それを実施してみた」と言いました。この結果、見落としていたヒントを見つけ、問題を突破したとのことです。

うまくいったチームも同様な問題を抱えており、それはリーダー的な存在の提案によって打開されたことがわかりました。この経験からも、マネージャーを始めとした役割分担が問題を解決するきっかけになりそうだと裏付けられました。これは、次回やってみる価値がありそうです。


もう1つの問題

私たちは、もう1つ問題視していたことが話題に上がりました。それは、「ゲーム終盤焦りすぎじゃないか?」ということです。脱出ゲーム界隈では、ゲーム始めに渡される簡単な謎のことを小謎、最後に渡される全員揃って解く難しい謎のことを大謎と呼びます。

私たちもこの大謎まで到達しましたが、それまでの問題に時間を費やし過ぎ、残された時間はごくわずかでした。結果、皆が焦ってその問題に取り掛かり、お互いに邪魔し合ってしまいました。

私たちに残されていた時間は少なかったですが、問題を解く鍵はすべて入手しており、目の前の問題を解くだけでした。落ち着いて解けば、ギリギリ脱出することができたかもしれません。


ゲーム終盤に焦ってしまう問題の解決策

私は、最後の謎を解くにも、必要以上に多くの人が手をつけないようマネージャーが管理するのが良いと提案しました。また、焦っているときは、マネージャーに決断権があると良いんじゃないかと主張しました。

しかし、ここで他のメンバーからある提案がありました。それは、

「焦ったときは『スクラップを信じろ!!』を合言葉にしよう!」

です。スクラップとは、この脱出ゲームの制作者です。

彼は「すべての謎は、時間内に解くことができるように設計されている。時間が足りないように感じたとしても、そこは絶妙な調節でスクラップが問題を設計しているはずだから、スクラップのことを信じて一度落ち着いて問題を解いてみよう」と主張しました。

私はこの提案に衝撃を受けました。この提案の素晴らしいところは、誰の負担もならずに、合言葉というシンプルな仕組みで焦るという問題の解決を試みていることです。

私の提案はマネージャーへの負担が大きくなるものでした。特に、焦りはゲーム終盤に発生するものであり、責任も大きくなるタイミングです。実施していないのでわかりませんが、この試みはうまくいかないように思います。

これを、お互い合意の取れた「合言葉」を導入することで、全員の焦りを抑制しようとするこの提案はより価値のあるものだと思いました。また、その場にいた全員が納得し、この提案を受け入れたように思えます。


余談: お酒は何をしたのか?

「(酔い過ぎなければ、)人は酔っているときのほうがよりクリエイティブになれる」という研究成果があるそうです。

今回私たちが(少なくとも私が思っているより)良い解決策を導けたのも、お酒が入り適度に酔っていたからなのかもしれません。


まとめ

上記をまとめると、この飲み会が良いまとまりが得られたのは下記の要因があったのだと私は考えます。

  • 良好な関係を築いており、言いにくいことがあまりなかった
  • まずはじめにチームの良いことを、続いて個人の良いことをお互いに褒めあった
  • 個人の問題としてとらえずみんなの問題として扱い、相談して解決策を導いた
  • 解決策が妥当であるかを、うまくいったチームの経験と照らし合わせて裏付けを行った
  • 誰の負担にもならないよう、シンプルな仕組みで解決できるよう工夫をした
  • 皆が納得し、受け入れられる案を提案した
  • お酒を飲んでクリエイティビティが上昇した

今回の振り返りにおいて、私が一番良かったことは、私自身の想像を超えた解決策が導かれたことです。かっこよく言えば、これがイノベーションなのでしょう。このようなことが続く限り、振り返りはやる価値があると感じます。

本記事では、反省会という名の飲み会のうち、反省会部分を切り出してKPTと照らし合わせて分析をしています。したがって、少々硬い雰囲気に見えますが、実際は世間話やジョークも飛び交っています。普通の飲み会と変わりませんので安心してください🙌

また、部長視点の振り返りなので、部長の主観が大いに入っていること、誇張されていることがあることにご注意ください。


終わりに

本記事では、脱出ゲームでの出来事から、チーミングと振り返り手法KPTについて考えてみました。実際の出来事を基にチーミングやKPTについて考えてみるのもなかなか面白いですね。

チーミングやKPTという言葉は、私は社会人になって初めて聞いた言葉ですが、実はそんな大層なものではなく、日常的にも行われている一般的な取り組みのことを言っていたんだなと、今回感じました。

発想を変えれば、日常生活や趣味からでも、学ぶ意志さえあれば多くのことが学べると期待できそうです。中国古典に「事上磨錬」という言葉もあるそうで、これは間違いではないでしょう。

私たちは人間ですし、仕事以外にもやりたいことはたくさんある or 作れると思います。多くのものに興味を持って学びながら生きていければ、より幸せだと思います💪

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