本エントリはボドゲ紹介 2016 Advent Calendarの10日目です。
9日目は青の騎士さん(@blueknight_tw)の 夫婦や子供達と遊んでるゲームを紹介ッ!~夫婦編~ でした。
はじめまして、某社でボドゲ部の部長をしているにゃまです。私が好きなボードゲームを3つ上げると、ワンナイト人狼、レジスタンス・アヴァロン、人狼です。とにかく人狼が好きなボードゲーマーです。
本エントリではこのうち、私が最も長い時間遊んでいるだろうワンナイト人狼について書きたいと思います。
ワンナイト人狼の説明に入る前に......
人狼ゲームの説明を少しだけしたいと思います。人狼ゲームを私なりに説明をすると、村人たちが話し合いを通じて協力し、村人に紛れた人狼を見つけ出すゲームです。
プレイヤーは小さな村の村人になります。この村に、人狼という恐ろしい怪物が紛れ込んでしまい、村が全滅の危機にさらされるというストーリーです。人狼は夜な夜な村人のうち誰か一人を襲い食い殺してしまいます。村人たちはこの人狼に対抗するため、話し合い通じて人狼と疑わしい人をあぶり出し、毎日(ゲーム内時間)1人ずつ処刑していきます。これを何日か繰り返してすべての人狼を処刑できれば、村に平和が訪れて村人たちの勝利です。逆に、最後まで人狼を特定できず村を壊滅させられてしまったら人狼の勝利です。
もっと詳しく知りたい方はこちらのリンク先などを読んでいただければ参考になると思います。
ワンナイト人狼の紹介
ワンナイト人狼も世界観は人狼と一緒です。ある小さな村に恐ろしい人狼が紛れ込み、村人たちは脅威にさらされています。ただし、ワンナイト人狼では、すでに全滅寸前まで追い詰められています。これが最後の1日です。
村人たちは、残されたこの1日で人狼を特定し処刑することが勝利目的になります。逆に人狼は、自分自身が処刑されなければ勝利です。
だいたい10分くらいで終わるのに、人狼のような駆け引きが楽しめるゲームです。
ゲームの準備
ワンナイト人狼は、プレイヤーの人数 + 2枚の役職カードを使って遊びます。ここでは5人プレイの基本のワンナイト人狼を紹介します。役職カードをよくシャッフルしてプレイヤーに1枚ずつ、余った2枚を中央に伏せて画像のように並べます。
役職の内訳は人狼2枚、占い師1枚、怪盗1枚、残りはすべて村人です。占い師、怪盗の説明は後で行います。
中央にある2枚のカードは墓場と呼ばれ、ゲームの設定ではそれまでに犠牲となった村人たちなんですね。ときには占い師のような村の強い味方も犠牲になっていることがあります。
夜の時間
準備ができたら夜が訪れます。村人たちは夜になると眠りにつきます。眠りについている間は目を瞑って顔を伏せましょう。しかし能力を持つ村人は、自分の時間が来ると目を覚まし、その能力を発揮することができます。能力を発揮できる役職は、人狼、占い師、怪盗の3つです。能力者の時間は占い師 → 人狼 → 怪盗の順に訪れます。
占い師(村人陣営)のターン
占い師は村人の強い味方です。勝利条件は村人と一緒で人狼を処刑することです。占い師のターンが来たら占い師は目を覚まし、① 誰か1人のプレイヤーのカードか、② 墓場の2枚のカードが何かを知ることができます。
この情報は非常に有力なので、朝になったらすぐに他の村人たちに教えてあげましょう。
ただし、必ずしも本当のことを言わないほうが良いことも......?
人狼のターン
人狼は言わずもがな、人狼陣営です。勝利条件は人狼が一人も処刑されないことになります。人狼のカードは2枚含まれています。人狼のターンが来たら、人狼の人は目を開けて、仲間の人狼とアイコンタクトをとります。このとき誰も目が合わないことがあります...... それは画像のように墓場に1人、仲間の人狼が眠っていることになります。
怪盗(村人陣営)のターン
怪盗は村人の陣営です。怪盗はとても特殊で、他のプレイヤー1人を指定し、そのプレイヤーの役職と自分が入れ替わる能力を持っています。これが意味するのは、人狼のプレイヤーを指定すれば、自分は人狼になり、相手は怪盗になるので陣営も入れ替わります。相手のプレイヤーは交換されたかどうかはわからないので、人狼だと思い込んだままゲームが進むこともよくあります。
朝の時間
夜が明けると朝が訪れ、村人たちは話し合いを始めます。ここでは、夜にあった出来事について話して、誰が狼か突き止めましょう。また、「カードが動いてる! 誰かに正体を見られてるかも!!」だとか、「怪盗のターンにカードが動く音がしたから誰か交換されてそう!」というようなことに触れても大丈夫です。
要は何を話してもいいわけです。どんな方法でも良いので、自分の持つ情報をすべて伝えきり、人狼を特定しましょう。
夕の時間
話し合いが終わると、誰を処刑するかの投票を行います。投票は一斉投票の形式をとります。セーので誰かを指差し、最多票(同票なら全員)のプレイヤーが処刑されます。ここで処刑された人に人狼が含まれていたら村人の勝利、含まれていなかったら人狼の勝利です。
平和村
察しが良い人ならお気づきでしょうが、ワンナイト人狼では、プレイヤーの中に人狼がいないケースもあり得ます。この場合は、村人が一票ずつ票を分け、全員同票にします。この場合は誰も処刑されなくなります。プレイヤーの中に人狼がいなかった場合には、このように誰も処刑されなければ勝利になります。
平和村で勝利するのはとても難しいです。そもそも平和自体がレアケースなので、全員を信じきることがなかなかできません。しかし平和は存在します。みなさんも信じる心を忘れないでください。
ワンナイト人狼の魅力
ワンナイト人狼は、怪盗がいることでとんでもない話し合いが行われます。例えば、占い師が嘘の占い結果を発言をしたり、人狼が人狼をだと宣言したりします。村人すら役職を騙ることもあります(私はすべて経験済みです)。
これもワンナイト人狼のゲームシステムがよくできていて、1) 人狼であっても怪盗と交換されて村人陣営になることがあること、 2) 墓場に役職が埋まり、その役職を人狼に乗っ取られてしまうこと、といったリスクがあり、上記はこのリスクに効果的な対処法なのです。
その分考えることが多くなるので難しいのですが、それがワンナイト人狼の魅力です。
ちなみにボードゲームの紹介で載せた画像も
占い師は目を開けて墓場に人狼と村人がいることを把握し、
次に人狼が目を開けて、仲間がいないことを確認します。
最後に怪盗が人狼と交換してしまい、朝が来たゲームになっています。
こんな日の朝は、
- (元人狼) 占い師です! 墓場を見たら村人が2枚埋まっていました。この村には人狼が2人もいる><
- (占い師) 私も占い師でした。墓場を見て人狼と村人だった! 怪盗と人狼がいるよ!
- (元怪盗の人狼) いや私が本物の占い師だよ。(人狼だった人を指差しながら)彼を見て人狼だったから村人の人は彼を処刑しよう!
- ...
といった感じで3人占い師が出ることもあります。こんなとき、村人の自分はどうするかとか、人狼だったらどんな誘導をするとか考えるのも面白いです。
これだけで理解するのは難しいので、ぜひ実際にプレイしてみるか、ワンナイト人狼の実況プレイ動画などを見てもらえるとその面白さが伝わるかもしれません!
ワンナイト人狼の楽しい遊び方
ワンナイト人狼は私個人としては大好きなのですが、先ほども述べた通り、考えることが多くて難しいゲームです。
私は、ワンナイト人狼は話し合いが盛り上がってこそ楽しいと思っています。これに則って、どうしたらワンナイト人狼を楽しく遊べるのか、自身の経験からかたってみます。
1. ワンナイト人狼(か人狼)の経験者を入れてゲームをする
いきなりかなりハードルが高い条件を挙げてしまいましたが、これは話し合いを活発にするためです。初めて人狼系のゲームをすると、どうやって嘘をついたり、どんなことを話したりしたらいいか分からないため、黙り込んでしまうことがあります。みんな黙り込んでしまうとほとんど情報が出ないので、人狼の候補を絞り込めずに運ゲーになってしまいます。
それではつまらないので経験者が黙っている人からも情報を引き出したり、経験者自身が騙ってみせることで話し合いが活発になり、ゲームが盛り上がります。
2. 定石にとらわれず、様々な騙り方にチャレンジする
人狼の醍醐味はやはり騙りでしょう。人狼では「村人は嘘を言ってはいけない」だとか「人狼は1人が霊媒師を騙るのが有効」だとかいろいろな定石がありますが、ワンナイト人狼はそういうのに捉われないで騙るのがオススメです。
ちなみに私は、どんな目的でそうしたのか説明できれば誰が何を騙ってもいいとすら思っています。その騙りから(特に経験者による)深読みが発生し、思わぬ方向に話し合いが発展します。
騙りが失敗したなと思っても、いつの間にか有利な展開になったりするので、失敗を恐れずに様々な騙りにチャレンジしてみてください。
3. むやみに疑ってしまったときはゲームの後に謝る
人狼系のゲームは、人と人がコミュニケーションをとって成り立つゲームです。ゲーム上仕方のないことですが、あまりに疑われすぎると人は傷つきます。
仲良くゲームをするためにも、疑いすぎたなと感じたときは、「疑いすぎてごめんなさい」と言いましょう。また、謝られた側も「気にしないで、仕方のないことだから」と、きちんと受け入れてあげましょう。
これは人狼に限らず、ボードゲーム全般にも言えることでしょう。
以上3つ挙げてみました。1のハードルがとにかく高いですが、困ったら私にコンタクトを取ってみてください!
長くなりましたが、ワンナイト人狼の紹介は以上です。ワンナイト人狼は面白いので皆さんも買いましょう。
最近は公式とコラボしてワンナイト人狼の脱出ゲームもあります。こちらもオススメです。
明日は、@shousandesuyoさんの記事になります。
人狼をプレイすることによるその効果
ここからは蛇足です。人狼は人間同士のコミュニケーションによって成り立つゲームであり、そのゲーム性に注目して、最近では学校の授業や新人研修でも扱われているようです。
コミュニケーション能力は筋肉のように鍛えられると言われていますが、果たして人狼ゲームはコミュニケーション能力の向上が期待できるのでしょうか? 私にはこの疑問に答えることはできませんが、経験上、他人から何か情報を得たり、自分を表現したりする能力というのは多少向上したのではないかと思っています。
この疑問にちょっとだけ迫る(?)、人狼ゲームに関連した研究論文を紹介したいと思います。
この論文では、フレッシュマンセミナーと呼ばれる授業で人狼ゲームを行い、この授業がどのような効果が期待できるのかを調査しています。調査は、受講者の63名を5~8名のグループに分けて人狼をさせ、アンケートを取って行われました。このアンケートを元にテキストマイニングによる分析を行い、考察をしています。
調査で明らかにしようとしたのは以下の3点です。
- フレッシュマンセミナーで『人狼』を実施した場合、どのような効果が期待できるか?
- 『人狼』に意欲的に取り組めたかどうかは、学生の専攻・性別・ 性格によって異なるか?
- 学生は英語で行う『人狼』をやりたいと思うか? またそれは専攻によって異なるか?
上2つの結果と考察が面白かったので話したいと思います。
「フレッシュマンセミナーで『人狼』を実施した場合、どのような効果が期待できるか?」については、アンケート調査なので「どのような効果が期待できると感じるか」が適切ながしますが、下記のような結果を述べていました。
- 人の言動や表情を観察し、心理を洞察する能力を養う効果
- 嘘をついたり、嘘を見抜くスキルを磨く効果
- 自己表現力や、自己表現への積極性を高める効果
- 人を信じたり、人と協力する大切さを学ぶ効果
- 専攻や性別に関わらず、人と親しくなれる効果
2つ目の「『人狼』に意欲的に取り組めたかどうかは、学生の専攻・性別・ 性格によって異なるか?」では、ちょっとした面白い結果が記述されていました。
意欲的に取り組めたかどうかを、アンケート項目の「人狼ゲームは楽しめましたか?」によって分析を行っています。この項目は、はい・いいえ・どちらでもないの3通りで回答させています。
結果として、63人中50人がこの項目に「はい」と答え、1人が「いいえ」、残り12人が「どちらでもない」と答えました。また、「はい」と答えなかった13人のうち12人は、10個あるグループのうちの3つに固まっていたのです。
私見
1つめについて、私の経験と照らし合わせると、私は人の言動や表情をよく見るようになりましたし、自己表現や信じることについて考えるようになったので、あながち間違いではないのではないかと思っています。
2つめについて、そもそもこの大学には、別の授業でも人狼ゲームを扱ったことがあることが述べられていました。したがって、人狼ゲームに対する理解が高く、結果的に肯定的な回答が多くなったのではないかと考えています。
また、肯定的でない回答をした13人のうち12人が、3つのグループに固まった件については、ゲームの進行役のスキルや、プレイヤーの気遣いのなさに起因しているのではないかと思っています。好き勝手に発言をする人や強い(否定的な)発言をする人がいるとゲームの雰囲気は悪くなると私は考えています。ゲームの進行役がこれを解消することはできますが、どこまでゲームに介入するかは進行役にとって難しい問題です。
まとめる
人狼ゲームがコミュニケーション能力の向上が期待できるかはわかりませんでしたが、私自身は良い影響は与えるだろうと思います。また、人狼ゲームの面白さは、ゲームの進行役やプレイヤーによって決まるのではと推測しています。
この仮説のもと、本エントリの「ワンナイト人狼の楽しい遊び方」で挙げた「経験者」は、ゲームに対する楽しさの理解が高い人間が望ましいと考えています。また、ちょっとやりすぎちゃったかなと感じたときはきちんと謝る気遣いができる人がそろえば、とても楽しくゲームができるだろうと思います。
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